派遣には登録型派遣と無期雇用派遣という2種類があります。多くの人がイメージする派遣の働き方は登録型派遣です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分にあった働き方を選ぶことが肝心です。
ここでは登録型派遣の働き方をおさらいしつつ、無期雇用派遣について詳しく紹介します。無期雇用派遣は正社員に近い働き方のため、正社員とも比較しながらそれぞれのメリットや将来性についてみていきましょう。
登録型派遣の働き方
派遣会社に登録し、企業に派遣されて働きます。
派遣先で働いている期間だけ雇用期間が発生する有期雇用であり、登録しただけでは雇用契約が発生しません。
派遣会社の登録は基本的に無料で、誰でも登録ができます。
名前、住所などの個人情報、希望する業界、職種、働きたい曜日、時間、期間などを派遣会社に登録します。
登録はWebや電話、オンライン面談のほか、派遣会社に出向きコーディネーターと対面して行うものなどさまざまです。
登録する情報は履歴書の内容と重複することが多いため、履歴書を必要としない派遣会社が多い傾向です。
職務経歴書に記載する内容も登録時のヒアリングと重複するので、不要なケースが一般的です。
登録時に簡単なPC操作といったスキルチェックを行うことがあります。
登録後は、条件にあった職場が見つかれば派遣会社が求人を紹介してくれます。
条件や業務内容を確認しOKならば働き始めますが、納得がいかなければ断ることも可能です。
契約期間は求人によりけりですが、1ヶ月~6ヶ月程度が多い傾向です。
交通費が時給に含まれているケースもあるため、事前に求人情報を確認しておきましょう。
無期雇用派遣の働き方
2015年の労働者派遣法の改正によって登場した新しい働き方であり、常用型派遣、正社員型派遣とも呼ばれます。
派遣会社と期間を定めずに雇用契約を結び、派遣先に派遣されて働きます。
派遣会社に直接雇用されているため、派遣先で働いていない期間でも収入を得ることができます。
無期雇用派遣になるには、2つのルートがあります。
1つ目は有期雇用として同じ派遣会社で5年以上働き続けることで、派遣会社に無期雇用派遣に切り換えることを申し込める「無期転換ルール」の利用です。5年ルールとも呼ばれます。
派遣社員から無期雇用派遣の申し入れが行われた場合、基本的に派遣会社は断ることができません。
これは労働契約法18条で定められています。
2つ目は派遣会社の採用面接を受けて合格する方法です。
派遣登録とは異なり、履歴書や職務経歴書の作成、面接対策などの準備が必要です。
正社員の働き方
企業と期限の定めがない雇用契約を結び、雇用契約を結んだ企業で働きます。
仕事内容は限定されず、多様な業務を経験させるために異動や転勤もあります。
継続的にスキルアップができる環境が整っており、長期的なキャリアが描きやすいのが特徴です。
業務量や責任は多くなりますが、やりがいも十分にあります。
月給制で収入が安定するほか、定期的な昇給、ボーナス制度があるのが一般的です。
福利厚生も充実しており、退職金も手にすることができるなど、待遇面では最も恵まれています。
業務内容、時間、収入、将来性…条件別に働き方を比較
それぞれの働き方の特徴がわかったところで、さまざまな観点から働き方を比較してみましょう。
・業務内容
登録型派遣と無期雇用派遣は雇用方法が異なるだけで、派遣という働き方に変わりはありません。
そのため、業務内容もほぼ同じです。
派遣社員が行う業務内容は契約書に記載されている内容のみです。
契約書に記載されていない業務を依頼された場合は、契約違反になるため自分の判断で引き受けてはいけません。
契約書に記載がない軽い業務を依頼されたとしましょう。気に入っている職場で契約更新をしたい、役に立ちたいという気持ちが強くても、依頼を受けた結果、万が一、ミスやトラブルが発生した場合、派遣会社、派遣先企業との間でトラブルになります。
契約書に記載されていない業務を追加するには、新たな契約締結が必要です。
必ず派遣会社のコーディネーターに相談してください。
一方、正社員の場合は業務内容に限りはありません。
多彩な経験を積ませてキャリアアップを図る目的があるため、依頼された仕事は基本的に断ることができません。
異動や転勤、時には出向もあります。自分で企画して実行する業務が多いため、やりがいはありますが責任も大きくなります。
・就業時間
派遣の場合、契約書に業務内容とともに就業時間も記載されています。
派遣先は派遣社員に残業を指示することは基本的にできません。残業を依頼された場合も断ることができます。
残業が発生する場合は、契約書に必ず記載されています。
残業をしてでもしっかりと稼ぎたい場合は、残業ありの求人を選んでみてください。
残業代の計算方法は正社員と変わりません。
また、契約書に記載がない限り出張もありません。
正社員の場合、時短勤務を利用する人や週休3日を導入する企業も増えていますが、週5日、フルタイムで働くことが一般的です。
残業を依頼された場合、断ることは可能ですが、長期的な関係を考えて断れないことも多いでしょう。
・収入
登録型派遣は派遣先で働いている期間しか給与が発生しないため、収入が安定しません。
契約満了後に次の仕事がすぐに見つからない場合、働いていない期間は無給になります。
また、時給制が一般的です。年末年始やゴールデンウィークなど祝日が休みになる職場の場合、祝日が多い月は収入が減少するほか、基本的にボーナスや昇給もありません。
パートやアルバイトと比較すると時給が高めに設定されているケースが多いものの、求人によっては時給に交通費が含まれています。
自宅から遠い、通勤日が多い場合、1ヶ月の交通費は結構な額になります。
求人では交通費についても必ずチェックしてください。
無期雇用派遣、正社員は月給制が一般的なため、休日や祝日が多くても収入が減ることはありません。
無期雇用派遣は派遣会社に直接雇用されているため、派遣先で働いていない期間、いわゆる待機期間でも給与が支給されます。
業務や就業時間が限定される派遣という働き方をしながら、収入が安定するというメリットがあります。
ボーナスや昇給制度があることが多く、仕事での頑張りが正当に評価されていると実感しながら働くことができ、長期的な視野でマネープランを考えていくことも可能です。
・福利厚生
登録型派遣、無期雇用派遣は派遣会社の福利厚生を利用します。
一定の条件を満たせば、派遣会社の各種社会保険に加入することが可能です。
一方、正社員は勤めている企業の福利厚生を利用します。
・将来性
登録型派遣の場合、同じ部署で3年以上働けない、いわゆる3年ルールが存在します。
派遣社員の長期的なキャリア形成を目的とした制度ですが、気に入った職場があっても3年以上続けて働くことはできません。
そのためスキルやキャリアの持続的な成長が難しいのがデメリットです。
派遣会社のコーディネーターに相談し、スキルやキャリアアップができるような求人を紹介してもらいましょう。
無期雇用派遣には3年ルールが適用されないため、派遣契約が続く限り、同じ職場・部署で働き続けることができます。
一方、短期間で職場を変わるリスクを減らせるため、登録型派遣より長期的なキャリアパスを描きやすいといえます。
ただし、将来的に正社員になりたいと考えている方は、登録型派遣の方が有利な場合があるので、注意が必要です。
登録型派遣で働いている場合、仕事ぶりがよい、企業風土にマッチするといった理由で派遣先企業から直接雇用に切り換えないかと提案を受けることがあります。
無期雇用派遣の場合は、派遣会社に直接雇用されているため、派遣先企業が気に入っても声がかけづらいのが現状です。
派遣会社としてもせっかく採用した優秀なスタッフを簡単に手放したくはありません。
そのため、待遇や福利厚生が充実している派遣先企業に直接雇用されるチャンスを逃してしまう可能性があります。
正社員は特定の部門・部署の業務のスペシャリストになるという道もありますが、多くの場合、どの部門でも対応できるゼネラリストや、部署を率いるマネージャーになることを期待されます。
さまざまな部署を経験して実績を上げていくことで、将来的には経営者層になる道も開けてきます。
・研修
派遣会社は登録型派遣、無期雇用派遣を問わず、キャリア形成を目的とした研修を受けさせることが法律で義務付けられています。
無期雇用派遣の場合は、より長期的な視点からの研修や訓練を行うよう法律で定められているため、充実した研修を受けることができます。
正社員の研修制度は企業によってさまざまですが、新人、若手、中堅、マネージャー層と階層によって異なる研修を継続的に受けることによって、着実にステップアップをめざすのが一般的です。
・働き方の自由度
最も働き方の自由度が高いのは、登録型派遣です。
契約期間や働く時間を選んで働けるため、半年間しっかり稼いでから海外留学、子どもの学校や幼稚園がある期間だけ働き、長期休業中は休むといった働き方もできます。
無期雇用派遣は待機期間中も派遣会社は給与を支払う必要があるため、登録型派遣よりも優先的に仕事を紹介する傾向にあります。
ブランクを作ることなく、継続的なスキルアップができるという点ではメリットがあります。
しかし、優先的に仕事を紹介してもらえる点はデメリットにもなります。
待機期間が短くなりがちなため、登録型派遣のような自由な働き方は難しくなるでしょう。
また、希望とは異なる職場に長く派遣される可能性も高まります。
適性や希望を丁寧にヒアリングしてくれる派遣コーディネーターがいる派遣会社を選ぶことで、条件の合わない職場を紹介されることを回避できます。
働き方の自由度の高さを選ぶか、継続的に仕事がある方を選ぶのか、自分にとって働きやすい方を選ぶことが肝心です。
正社員は登録型派遣のような働き方はできませんが、最近はフルリモートやフレックス制度などが浸透してきたことで自由度は高まりました。
ただ、部署や経歴によっては利用できない場合もあるため、注意が必要です。
・体力・精神的な負担
派遣の場合、働く前に契約期間と業務内容が明示され、基本的に働いている間に変更はありません。
つまり、どのような仕事を行うか事前にわかったうえで仕事を始められるので、精神的な負担が少ないといえます。
また、契約期間満了後、派遣先企業と派遣社員の双方が望めば契約更新も可能ですが、どちらかが希望しなければ仕事は終了します。
働いてみたら予想と違っていた、人間関係のトラブルがあった場合でも短期間で次の職場へ移れるため、精神的な負担が少なくて済みます。
派遣の場合、歓送迎会などの飲み会に誘われても、契約書に記載がない限り断っても角が立ちません。
ビジネスライクな人間関係を築くことが可能なため、人間関係のトラブルに巻き込まれることも少ないでしょう。
派遣社員の場合、業務も就業時間も限定的なため、体力的・精神的な負担が少ない状態で働くことができます。
正社員の場合、事前に業務内容が提示されていたとしても業務が追加されますし、部署の異動もあります。
新しい仕事にどんどん挑戦できる、責任ある仕事を任されるという魅力はありますが、体力の負担は大きく目標達成のプレッシャーもつきまといます。
また、人間関係のトラブルがあったとしても、社内の人員調整があるためすぐに異動できるとは限りません。
飲み会といった業務以外の誘いを断りづらいとの声もよく聞きます。
無期雇用派遣のメリット
登録型派遣、正社員と比較してきましたが、無期雇用派遣は登録型派遣と正社員のいいところを集めた働き方といえます。
つまり、登録型派遣のように業務と就業時間が限定的なのに収入が安定し、長期的なキャリアパスが描きやすい一方、正社員のような責任やプレッシャーを感じることなく安定して働くことができます。
派遣社員のメリットを受けながら、安定して働きたい方は無期雇用派遣がおすすめ
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キーワードに「無期雇用」といれて検索してみてください。
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