派遣のお仕事図鑑 ④貿易事務

手に職系の事務職で長期的なキャリアを構築したい人にぴったりの「貿易事務」。高度な知識・スキルが求められるだけに、やりがいの大きい仕事です。

今回はそんな貿易事務の具体的な仕事内容、求められる経験・スキル・資格、仕事によって得られるやりがいと魅力を網羅的に紹介します。また未経験から貿易事務を目指す方法も深堀りするため、専門性の高い仕事に興味がある人、グローバルな視点で仕事がしたい人はぜひ最後までご覧ください。

貿易事務は貿易関連業務に特化した事務職

貿易事務は数ある事務職のなかでも、貿易関連の業務に特化した専門性の高い仕事です。

主な職場は商社・メーカー、国際物流、貨物利用運送事業者、船会社、物流業者など。貿易に関する専門的な知識や、英語をはじめとする語学力を活かして、海外から製品を輸入したり輸出したりする際に発生するさまざまな事務手続きを担います。

海外との取引は文化や商品納入・代金支払いの方法に差異があったり、長距離輸送のため国内取引に比べて事故の危険性が高かったりと、リスクが少なくありません。そのためトラブルを回避するために、書類の作成・申請をはじめとした各種手続きが必要不可欠です。

輸出入に関わる書類としては、たとえば品物の内容や支払い方法が記載された「インボイス(Invoice)」、貨物の情報の書かれた「パッキングリスト(Packing list)」、貨物を引き渡すときに必要な「船荷証券(Bill of Lading)」、銀行が支払いを保証する「信用状(Letter of Credit)」、債務者に支払いの指示をする「為替手形(Bill of Exchange)」などが挙げられるでしょう。

また製品の出荷・輸送・通関・保管にともなう手配も重要な仕事です。

貿易事務が担う各種業務は、大きく輸出業務と輸入業務の2種類にわかれます。

主な輸出業務は輸出通関書類の作成、工場への出荷依頼、通関・倉庫の手配、飛行機や船などによる運送便の手配など。一方、輸入業務は海外輸出業者に対する発注手続き、輸入通関・倉庫・輸送手段の手配、輸入商品の納入管理、関税・消費税といった輸入時に発生する税金の納付などが代表例です。

さらに両者共通の業務として、メールや電話による関係者とのやり取り、郵便物の発送・仕分け、書類のファイリング、データ入力、スケジュール調整といった基本的な事務業務や、外国語書類の作成・書類チェック、各部署との連携業務も行います。

加えて三国間貿易に携わり、輸出国と輸入国の仲介役として決済・事務手続きを行うケースもあるでしょう。

実際にどのような業務を担当するかは就業先の業種・規模感・取引内容などによって大きく異なります。なお大企業は担当者が細分化されている場合が多いのに対して、小規模企業では一人の担当者がさまざまな業務を担うケースも少なくありません。

貿易事務に求められる経験・スキル・資格

貿易事務に就業するのに必ずしも業務経験は必要でないものの、貿易関連の手続きについて専門的な知識が求められる仕事のため、未経験者よりは経験者が優遇されやすい傾向にあります。ほかの事務職と比べると仕事に就くまでのハードルが高い職種といえるでしょう。

未経験から貿易事務を目指すには?

経験がない状態から貿易事務を目指す場合には、実務に直結するような経験・資格・スキルのアピールが大切です。

たとえば貿易事務は他部署や複数の取引先と連絡・調整などのやりとりをしながら業務を進めていく必要があります。

そのため営業事務での受発注業務などの経験があれば、貿易事務の現場で重宝されるかもしれません。それでなくとも取引先会社はもちろん、輸送会社・保険会社・銀行を含むさまざまな立場・業界の人や、文化の異なる人と円滑にコミュニケーションを行える力は不可欠といえるでしょう。

専門性の高い語学力

語学力も必要な仕事です。とくに輸出入関連の書類は英語で書かれる場合がほとんどのため、英文書類の作成・チェックができるだけの高度な英語力が求められます。

客観的に自身の能力を伝えるうえでは、日商ビジネス英語の資格やTOEIC・TOEFLの点数を提示するのが有効です。企業や業務内容によっても異なるものの、TOEICであれば500〜750点以上が条件となるケースが少なくありません。

また担当する業務内容によっては、海外取引先との電話・WEB会議に対応できるだけの英会話のスキルや、中国語・韓国語・スペイン語・フランス語などのスキルが重宝される場合もあるでしょう。

加えて海外とのやりとりでは誤解によるトラブルを避け、意思疎通をスムーズに行うために、文化・習慣などの理解も必要不可欠。そのため海外留学の経験などがあると、アピールにつながります。

さらに通常の日常会話やビジネスでの対話力だけでなく、貿易関連の専門性の高い外国語を抑えていると、即戦力として期待されるかもしれません。

PC事務スキル

ほかの事務職と同じように、事務処理能力も貿易事務には重要なスキルです。事務業務を効率的かつ正確に遂行する力、一般常識、ビジネスマナー、スケジュールの調整力、貿易につきものの天候トラブルなどをさばく臨機応変な対応力はもちろん、輸出入に関するさまざまな書類を処理していく力も求められます。

とくに書類作成は処理すべき量が多いうえに、小さなミスが自社や取引先の損害につながる可能性もあるため、ある程度のスピードは保ちつつも、間違いがないよう慎重にこなしていくことが重要。

これに付随してスピーディーなタイピングや、Excel、Wordといったオフィスソフトの操作ができる最低限のPCスキルは必須です。たとえばマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)の資格を取れば、実務レベルのPCスキルがあることを客観的に示すことができ、採用されやすくなるでしょう。

貿易に関する専門知識

当然、貿易書類の作成・確認を行ううえでは、法律・条約をはじめとした条約に関係する専門知識の習得も欠かせません。仕事に就いた後も、積極的に最新の情報を学び続ける姿勢がないと、継続していくのは難しい仕事といえます。

資格は貿易事務の仕事に就くために必ずしも必要ないものの、貿易事務検定・通関士などの関連資格があり、取得しておくことで専門知識や意欲のアピールが可能です。

貿易実務検定は貿易関連の知識と実務能力を示す資格で、C級・B級・A級の3段階にわかれているのが特徴。C級は定型的な貿易業務がこなせるレベルを、B級は中堅層の経験者レベルを、A級は判断業務ができるレベルをそれぞれ証明できます。

一方、合格率9.8%の難関資格である通関士は、とくにキャリアアップを見据えたときに役立つ資格といえるでしょう。

ただしいずれの資格も英語力がないと取得は難しいため、ゼロから貿易事務になるための勉強をスタートするのであれば、まずはTOEICから着手するといいかもしれません。

貿易事務のやりがいと魅力

貿易事務の仕事を通して得られるやりがい・魅力として、まず挙げられるのがグローバルな視点で仕事ができることです。

実際に海外の文化・人・商習慣に触れるなかで、ビジネスレベルの語学力を磨けるだけでなく、日本国内だけに目を向けていては得られないさまざまな価値観や気づきを発見する機会があるでしょう。

貿易に関連する世界の情勢・天候・原油価格・為替の動向などにも自然と目が向くようになるため、世界各国で起こっている出来事への理解も深まっていきます。世界全体を知ることで、その中に位置付けられている日本についても、より多角的に考えるきっかけになるかもしれません。

文字通り世界が広がっていく感覚を実感できる点が、ほかの仕事にはない、貿易事務ならではの醍醐味といえるでしょう。

ビジネスパーソンとしてのキャリア

また貿易事務はビジネスパーソンとして成長していきたい人にもおすすめの仕事です。

先述したように貿易事務では一般的なビジネスマナー、コミュニケーション能力、事務スキル、PCスキルなど幅広いスキルが求められます。これらは高度なレベルで身につけていれば、基本的にはどのようなビジネス現場でも通用する一生もののスキルといえるでしょう。

職場や派遣会社によってはビジネスマナー研修、OA研修、貿易事務・TOEICの学習サポートなどを実施しているケースもあり、働きながらスキルを磨くことが可能です。

実際に貿易事務で身につけたビジネススキル、英語力、コミュニケーション能力、グローバル視点、輸出入に関わる知識を活かして、外資系企業・IT企業・フリーバイヤーなどにキャリアチェンジする人も少なくありません。

貿易関連の知識・経験を積み重ねていけば、難関資格である通関士を取得するなどして、さらなるキャリアアップをめざせます。

このように長期的な目標を掲げ、高いモチベーションを持って日々の仕事に携われる点が貿易事務の大きな魅力。

それでなくとも、貿易事務の採用は経験者が優遇されやすい傾向にあるため、貿易関連の専門知識と経験さえ身につけておけば、出産・育児・介護といったライフイベントで職場を離れたあとも復職がしやすくなり、柔軟な人生設計が可能になるでしょう。

貿易事務は求められるスキルこそ高いものの、事務職のため業務量は安定しているケースが多いのもメリットです。基本的には定時に退社できる仕事のため、プライベートを充実させやすいという特徴があります。

貿易事務になるには?

先述したように、貿易事務は経験者が優遇されやすい傾向にあるとはいえ、英語力、輸出入の手続きや法律に関する知識、事務経験などがアピールできれば未経験からでも十分めざせる仕事です。

とくに貿易実務検定の資格を持っていると、輸出入の知識を有していることの証明につながり、優先的に採用されやすくなります。英語力が十分に身についており時間にも余裕があるのであれば、まずはC級からチャレンジしてみるのも一案でしょう。

最初から正社員として転職・就職するのは難しくても、まだ派遣社員として採用される道があります。実際に未経験者を含めて募集している貿易事務の派遣求人は少なくありません。

とはいえほかの事務職と比べると、貿易事務に就業する難易度はやや高めのため、採用を勝ち取るにはしっかりとした対策が必要です。

たとえばこれまでのキャリアや培ってきた知識・スキルの棚卸しを行い、貿易事務に求められる知識・経験・スキルと関係がありそうなポイントを考えることで、履歴書・面接での自己アピールは格段にしやすくなるはず。

志望動機を訊かれた際には、その企業の貿易事務にとどまらない全般的な業務内容をしっかりと把握したうえで、貿易事務の仕事はもちろん事業全体に強い興味関心があることを伝えられるように準備しましょう。

また貿易事務は急速に変化し続ける世界情勢にアンテナを張りながら、知識・スキルを磨き続ける必要のある仕事です。そのため成長意欲の高さを示すことが必要になります。

既に貿易事務の仕事に就いている人の多くは、未経験からスタートして、多くの場合にはまず先輩のアシスタントとして経験を重ねながらキャリアアップしています。

そのため最初から輸出入に関する知識や書類作成のスキルが完璧である必要はありません。未経験からチャレンジするのであればなおさら、「会社のためにスキルアップして貢献してくれそうだ」というポテンシャルを、会社側にいかに感じさせることができるかが、重要なポイントといえるでしょう。

貿易事務の仕事に就くなら綜合キャリアオプション

以上、貿易事務の具体的な業務内容、求められる経験・スキル・資格、仕事によって得られるやりがいと魅力、未経験から目指す方法について深堀りをしました。

貿易事務は専門的な知識・スキルが求められる比較的ハードルの高い事務職ではあるものの、未経験からの挑戦も不可能ではありません。とくに成長意欲が旺盛で、やりがいの大きい仕事に就きたいとお考えの人には、おすすめの仕事といえるでしょう。

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