派遣のお仕事図鑑 ⑤医療事務

医療機関で働く「医療事務」は、患者さんを支える重要な仕事です。

今回は事務職の仕事内容と、仕事に就くために必要な経験・資格・スキル、仕事のやりがいや魅力を網羅的にレポートしていきます。必要な資格・スキルや仕事内容、やりがいなどについても解説するので、「未経験から医療事務をめざしたい」「医療事務に向いているタイプについて知りたい」とお考えの方は、ぜひチェックしてください。

医療事務が担う代表的な三つの業務

医療事務は医療機関で発生する事務全般を担当することで、医師・看護師をサポートする仕事。主な勤務先としては、病院・クリニック・診療所・健診センター・保健センターなどが挙げられます。

医療事務員が担う代表的な業務は、「レセプト業務」「受付・会計業務」「クラーク業務」の3つです。

①レセプト業務

医療機関では「診療報酬点数表」をもとに診療費用を算出。次いで医療保険制度に従って、患者さん負担分の診療費(3割)と保険者の負担分(7割)を計算し、それぞれに請求を行います。

このうち、別名「診療報酬明細書」とも呼ばれる、患者さんの氏名・医療機関・傷病名・診療報酬点数などが書かれたレセプトを、1ヵ月に1度作成して、毎月の締切日に合わせて保険者に請求するのが「レセプト業務」です。

なお実際の請求は、健康保険組合や国の担当機関といった保険者に直接行うわけではなく、国民健康保険団体連合会・社会保険診療報酬支払基金などの審査支払機関を介して行われます。

レセプトは医師の書いたカルテの内容をもとに、レセプトコンピューターという専門的な機械にデータ入力をして作成するのが一般的です。そのため医療事務員には、カルテを読む専門的な知識や、傷病名・処置内容・薬の種類などの整合性をチェックする基本的な医学知識が求められます。

②受付・会計業務

2つめの「受付・会計業務」は、病院・クリニック・診療所といった医療機関の「顔」として、来院した患者さんへの対応を行う仕事です。

具体的な業務内容は、電話対応、患者さんから診察券と保険証を預かる、問診票・カルテ・新しい診察券の作成を行う、処方箋を渡す、診療費用の計算・請求をする、次回診療日の予約をするなど多岐にわたります。

来院する患者さんによっては身体の不調により気分が落ち込んでいたり、ストレスを抱えていたりするケースも少なくありません。そのため、にこやかな対応や細やかな気配り、積極的な声がけを通して、患者さんに安心感・信頼感を与えるのも重要な役割です。

③クラーク業務

最後の「クラーク業務」は比較的規模の大きい医療機関に配置されている業務で、「外来クラーク」と「病棟クラーク」の2種類があります。

「外来クラーク」は来院した患者さんと医師・看護師との仲介的なポジション。受付・会計業務に加え、患者さんの呼び出し、受診科・検査室への案内、カルテへの情報入力、レントゲンの準備、検査データの準備といった診察を円滑に行うためのサポート業務を担います。

対して「病棟クラーク」は、入院病棟のナースステーションや事務室に常駐して、事務業務全般を担当する仕事です。代表的な業務内容としては、入退院の手続き、入院前の説明・手続き、病室の手配、名簿・カルテ・食事伝票の作成や管理、手術・検査・入院スケジュールの管理、面会者受付などが挙げられるでしょう。

加えて患者さんやそのご家族から、治療内容に関する質問を受ける場合も少なくありません。入院期間が長引き費用が高額になるケースでは、高額療養費・公費負担医療といった制度の説明をするシチュエーションもあります。

このようにパソコンに向かって行う事務的な業務だけでなく、患者さんと直接関わりながら、医療機関の運営・経営を支えるのが医療事務の最大の特徴。さらにほかの医療スタッフが働きやすいように、環境整備などを行うのも大切な業務です。

とはいえ業務範囲が広い大規模な病院では、クラーク業務のうち一部のみ、あるいは受付・会計業務のみ、レセプト業務のみを担当するケースもあるでしょう。

一方、医療機関には法律的に医師・看護師以外が行ってはいけない業務も存在するため、業務範囲を飛び越えないように注意が必要になります。

医療事務に求められる経験・資格・スキル

医療事務は医療行為に直接携わる仕事ではないものの、専門的な知識の習得が求められる仕事です。

たとえば正確にレセプト業務・会計業務・カルテへの情報入力を行うためには、レセプトコンピューターの操作方法に加え、カルテの意味や読み方、傷病名・処置内容・薬の種類、診療報酬制度・医療保険制度に関する最低限の知識などを覚える必要があります。

とくに診療報酬制度は定期的に改正されるため、何かを学ぶことに抵抗がない人に向いている仕事といえるでしょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力も医療事務員の最重要スキルのひとつ。

笑顔で明るく対応をする自分から声がけをするなど、患者さんやご家族が抱えている不安・緊張をほぐして安心感を与えるだけでなく、必要事項へのくわしい説明や質問への回答など、幅広いコミュニケーションを行うスキルが必要です。

先述したように、来院する患者さんは体が弱っていたり、車椅子を利用していたり、ストレスで気持ちが逆立っていたりする場合も少なくありません。クレームなどのトラブルが発生するケースもあります。

そのため他業界の接客業と比べて、より繊細かつ丁寧な気配り、他人の痛みを理解・共感して寄り添おうとするホスピタリティ、状況に応じて冷静かつ臨機応変に対応する力が求められるでしょう。

お店や企業と同じように、医療機関も利用者がいなければ経営が成り立ちません。患者さんと信頼関係を構築しようとする姿勢が不可欠なのです。

事務処理能力

医療事務はほかの事務職と同じく事務処理能力も必要な仕事になります。

レセプト作成・会計は、医療機関の収入や患者さんの支払いに関わる重要な業務。レセプトの内容に誤りがあれば差し戻されて二度手間になってしまう場合もあるため、ミスをしないよう慎重に作業を進めていく必要があります。

さまざまな個人情報を扱うシチュエーションもあり、情報の整理整頓ができていないと、ミスや情報漏洩につながってしまう可能性もゼロではありません。

業務自体も定型的な反復作業が多いため、単調な作業であっても集中力を切らさずコツコツとこなしていける几帳面で忍耐力のある人に向いている職種と言えるでしょう。さらに細かい数字を扱うシーンも多いため、数字が得意な人に適性があります。

一方で業務が滞ってしまうと患者さんを長時間待たせてしまうことに。とくに毎月1〜10日のレセプトの締切前は、ふだんの業務に請求のための内容確認作業が加わるため、多忙になりがちです。そのため正確性は保ちつつも、複数の業務をスピーディに処理していくスキルが重要になるでしょう。

レセプト業務自体は専用のシステムを利用することで効率的に作業できる仕組みがつくられているものの、そのほかにもカルテへの情報入力、検査データ・入院スケジュールの管理など、さまざまなシーンでパソコンを扱います。

最低限のパソコン操作スキルがないと、スムーズに作業を進められず苦労するかもしれません。担当する業務によってはWord・Excelなどのスキルが役立つ場合もあるでしょう。

資格

医療事務に関連するメジャーな資格としては、「診療報酬請求事務能力認定試験」や「医療事務技能審査試験」などがあります。

「診療報酬請求事務能力認定試験」は合格率30%台と難関資格だけに、医療事務関連のなかで最も評価されている資格です。

株式会社フォーサイトが医師・医療事務員を対象に実施した2016年調査では、「医療事務従事者に持っていて欲しい・合格して欲しいと思う資格・試験」の1位にも選ばれました。取得することで医療保険制度や、診療報酬請求・医療関連法規などの基礎知識を証明できます。

「医療事務技能審査試験」も認知度の高い医療事務関連資格。診療報酬請求事務、窓口業務に加え、患者さんからの質問やクレーム対応をはじめとしたコミュニケーションに関する問題が出題されるのも特徴です。

これらの資格がなくても医療事務に就職・転職することはできます。しかし採用のされやすさ、就業後の待遇、今後のキャリアアップなどを考慮するなら、ぜひとも取得しておきたい資格といえるでしょう。

医療事務のやりがいと魅力

医療事務は患者さんと直接関わる仕事のため、内勤がメインのほかの事務職と比べると、「人のためになっている」「社会の一員として役立っている」という充足感を、より直接的に感じやすいのが特徴です。

とくに人の喜ぶ顔を見るのが好きな人、人から感謝される職種に就きたい人にとっては、やりがいをもって従事できる仕事といえます。事務スキルを高めていけば、職場内のほかのスタッフや医師・看護師から頼られる場面も増えていくでしょう。

このように人との関わりのなかで自分の能力を発揮できる点が、医療事務の最も大きな魅力のひとつです。

医療事務には業務や専門知識など覚えることがたくさんあり、関連資格も豊富。仕事を通して知識・スキルを磨きたい、キャリアアップをしていきたいという成長意欲のある人であれば、高いモチベーションを継続しながら仕事に携われます。

医療機関は全国にあるので、職場探しに困ることがなく、近所で働きやすい仕事でもあります。通勤時間ができるだけ短い職場に就業して、その分プライベートを充実させることもできるでしょう。

アルバイト・パート・派遣社員などさまざまな求人があり、午前中だけの勤務、週に2〜3日だけの勤務といったように働き方を選べます。ライフワークバランスをとりやすいのも、医療事務の仕事ならではのメリットです。

医療事務員に求められる知識・スキルは、現場によって大きな違いがありません。経験を積んでおけば、結婚・出産・介護・引っ越しなどの事情で離職したあとでも復職しやすく、安定したキャリアを築きやすいのもうれしいポイントです。

未経験から医療事務をめざすには?

医療事務は、ほかの多くの事務職と同様、経験者が優先的に採用されやすい傾向にはあるものの、基本的には業務経験・資格がなくてもチャレンジできます。

とはいえ、採用においては経験者の応募が多いため、関連資格や知識・スキルがあることをアピールするか、積極的に仕事を覚えようとする意欲があると伝えることが重要です。

患者さんと直接コミュニケーションを取る医療事務は、人によって得意不得意がはっきりわかれる仕事。そのため過去に接客経験があるなど、高いコミュニケーション能力の持ち主であれば、経験・知識・スキルがゼロからでも重宝されます。

もちろん正確な受け答えや、人柄・話し方・笑顔といった相手に与える印象も、面接の際にチェックされるポイントです。緊張しすぎて本来の能力を発揮できないということのないように、想定される質問を考えたうえで、練習を重ねておくようにしましょう。

医療事務は「人のためになることをしたい」という前向きな価値観、相手に気遣いができる視野の広さ、患者さんの気持ちを理解しようとするホスピタリティ、細かい事務作業を正確にこなしていく処理能力などが求められる職種です。

そのため、面接にのぞむ前に、これらの特徴に関連するような経歴・過去のエピソード・経験からの学びなどを述べられるようにしておくと、好印象を与えやすくなります。

他業界での事務経験も、医療事務の業務に生きてくる場面が多いので、積極的にアピールしましょう。

医療事務は、正社員求人だけでなく、パート・アルバイト・派遣などのさまざまな勤務形態があります。まずは比較的ハードルの低い求人からキャリアをスタートして、段階的にステップアップしていくのもひとつの方法です。

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