仕事、働き方、キャリア…派遣とアルバイト・パートはどこが違う?

派遣とアルバイトはどちらも非正規雇用ですが、全く異なる働き方です。派遣とアルバイト、それぞれの特徴を理解して、自分に合った働き方を選びましょう。

今回の記事では、派遣とアルバイトの違いについて、雇用の仕組みや、メリット・デメリット、キャリアアップの方法を詳しく解説します。

1. 派遣とアルバイトは「雇用の仕組み」が違う

派遣とアルバイト・パート(以下アルバイト)は、そもそもの雇用の仕組みが異なります。最も大きな違いは、雇用主が異なる点です。まずは、派遣とアルバイトがどのように雇われて働くのかを確認しましょう。

1-1. 派遣の雇用の仕組み

派遣とは、派遣会社に登録し、派遣先企業で「派遣社員」として働くことを言います。派遣社員と「雇用関係」にあるのは、派遣会社です。つまり、派遣社員の雇用主は派遣会社で、給与も派遣会社から支払われることになります。

派遣会社と派遣先企業は、「労働者派遣契約」を結んでいます。派遣会社は、自社に登録した派遣社員に対して、条件に見合う派遣先企業を紹介します。派遣社員は、派遣会社から紹介された求人のうち、希望する職場を選んで就業します。

派遣先企業と派遣社員は「指揮命令例関係」にあり、派遣先企業は派遣社員に対して業務指示を出すことが可能です。就業後も、派遣社員・派遣会社・派遣先企業の三者が連絡を取り合いつつ、仕事を進めていきます。

1-2. アルバイトの雇用の仕組み

アルバイトは、企業の求人に個人が応募して、採用となれば勤務先と直接雇用関係を結びます。給与支払いや業務指示もを行うのも、すべて勤務先企業です。

アルバイトは、派遣社員と同じ非正規雇用にあてはまります。なお、アルバイトとパートは、法律上ではどちらも「パートタイム労働者」として定められており、名称は異なっても違いはありません。

2. 派遣のメリット・デメリット

派遣社員には、アルバイトにはない決まりや制度が多くあります。人によっては、派遣社員の制度はメリットにもなりえるので、派遣とアルバイトを検討する際には必ずチェックしましょう。

ここでは、派遣の制度に基づき、派遣で働くメリット・デメリットを解説します。

2-1. メリット① 派遣会社の制度を活用できる

派遣社員は、派遣会社のサポートを受けることができます。たとえば、派遣会社の担当者が求人を紹介してくれるので、自分で就職先を探す手間がありません。求人を一つひとつ確認する必要がないので、効率よく就職活動が行えます。また、派遣期間が満了しても次の職場を紹介してもらえるので、「早く次の仕事を見つけなければ」というプレッシャーを感じることもないでしょう。

派遣先企業でトラブルが生じた際も、派遣会社が間に入ってくれるので安心です。「契約にない業務を頼まれる」「関係のない社員から指示をされて困る」というような場合は、派遣会社に相談すれば然るべき対応をしてくれます。実績が上がれば、時給アップなどの条件交渉も行ってもらえます。

スキルアップ・キャリアアップ支援制度が充実していることも、派遣ならではの魅力です。社内で実施されるPC研修やビジネスマナー研修のほか、提携スクールを特別価格で利用できるなどの特典も。派遣で働く際には、各派遣会社のサポート体制も確認しましょう。

2-2. メリット① 労働者派遣法による禁止事項がある

労働者派遣法は、派遣社員の権利や安全を守るための法律です。労働者派遣法では、「派遣社員にさせてはいけないこと」も定められています。

派遣社員ができない業務

港湾、建設、警備、医療関連業務、士業(税理士、弁護士、司法書士など)

派遣社員ができないこと/しなくてもいいこと

・日雇い派遣(一部例外を除く)
・離職後1年以内の企業での派遣社員としての勤務
・契約書に記載されていない業務

(出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088

派遣社員は、契約書で定められていない業務を行う必要はありません。たとえば、残業を依頼されても、契約書に「残業は1日〇時間、1ヶ月〇時間以下」といった残業に関する記載がない場合、派遣社員には断る権利があります。もし、契約書にない業務を依頼されるなど、派遣先企業の対応に疑問を感じた場合は、必ず派遣会社に相談してください。

2-3. デメリット① 派遣期間に制限がある

派遣社員の期間制限は、一般的に「3年ルール」と呼ばれるものです。この3年ルールには、「事業所単位」と「個人単位」があります。

派遣の3年ルール

事業所単位企業が派遣社員を受け入れられる期間は最長3年。ただし、労働組合の意見聴取により、最長3年の派遣期間の延長が可能。
個人単位1人の派遣社員が同じ事業所の同じ組織(課・部署)で勤務できる期間は最長3年。ただし、労働組合の意見聴取により、同じ企業の別の組織であれば派遣延長が可能。

個人単位よりも事業所単位が優先されるので、派遣先企業で自分より前に派遣社員として働いた人がいる場合は、派遣期間が3年未満となるケースもあります。

最長3年という制限はあるものの、この特性を活かせば、さまざまな職場で経験を積むことも可能です。「自分に合っている業界や職種がわからない」という場合、派遣社員として働く中で、興味のある仕事が見つかる可能性もあるでしょう。

ただし、下記に当てはまる場合は、派遣期間制限の例外となります。

派遣の3年ルールの例外

・無期雇用派遣
・60歳以上
・期限が明確な有期プロジェクト業務
・日数限定業務(一ヶ月の勤務日数が通常労働者の半分以下で10日以下)
・産前産後・育児・介護休業の代替業務

派遣会社と無期雇用契約を結ぶ「無期雇用派遣」を選べば、3年ルールに縛られずに長期キャリアを形成できます。自分の希望に合う働き方を選んでくださいね。

2-4. デメリット② 業務範囲が限られる

派遣社員は、最初の契約で業務内容が定められており、基本的に契約書にない業務を任されることはありません。したがって、徐々に責任のある業務を任されるということはなく、契約期間中は決められた業務をこなします。

スキルアップをしてどんどん新しい業務に挑戦したいという人には、派遣の働き方はフラストレーションが溜まる可能性もあるでしょう。逆に、「責任のある仕事はしたくない」という人には、業務範囲がきっちりと決まっている派遣がおすすめです。

3. アルバイト・パートのメリット・デメリット

企業と直接雇用を結ぶという点が、派遣社員と異なるアルバイト。直接雇用という特性上、派遣社員とは働き方も大きく異なります。ここでは、アルバイトのメリット・デメリットを確認しましょう。

3-1. メリット① 働く期間や業務内容に制限がない

法律上、アルバイトには就業期間に制限はありません。企業と従業員の合意があれば、何年でも同じ職場で働き続けることができます。

アルバイトの業務内容についても、派遣社員のように契約書できっちり定められているわけではありません。面接時におおよその業務内容は伝えられるものの、徐々に業務範囲が広がったり、突発的な業務を任されたりということもありえます。

アルバイトには制限がない分、実力が評価されれば、時給アップやマネージャーや副店長への昇進なども柔軟に検討してもらえるでしょう。

3-2. メリット② シフトの融通が利きやすい

多くの場合、アルバイトはシフト制なので、予定が入っている日は前もって休みを取ることができます。「この日は午前中だけ」「この日は2時間だけ」など融通が利きやすいので、細かく予定を調整する必要がある人は、シフト制のアルバイトが合っているといえます。派遣では、勤務曜日や勤務時間が決まっているので、アルバイトほど自由に勤務日や勤務時間を選ぶことはできません。

ただし、シフト制の場合、スタッフが足りない場合や繁忙期には、急な出勤の可能性も考慮しなくてはなりません。慢性的に人手不足の職場であれば、出勤が続くこともあります。

3-3. デメリット① 派遣に比べて時給が低い傾向にある

アルバイトは、派遣に比べると時給が低い傾向にあります。2023年2月における三大都市圏の平均時給は、アルバイトが1,142円、派遣は1,611円です。
(出典:JBRC ジョブズリサーチセンター「2023年03月度更新_最新市場データ(平均賃金レポート(アルバイト・パート))」/https://jbrc.recruit.co.jp/data/ap/

派遣がアルバイトよりも時給が高い理由としては、人材採用にかかる広告コストをカットできることなどが挙げられます。短時間で効率的に稼ぎたいという人には、アルバイトよりも派遣が向いているといえるでしょう。

3-4. デメリット② 自分で企業と交渉する必要がある

派遣社員であれば、派遣会社が派遣先企業と交渉してくれますが、アルバイトではすべて自分で行う必要があります。勤務先でトラブルが生じたら、自分の力で解決しなければなりません。時給アップの交渉なども、自分でする必要があります。

自分の意見をしっかり言える人であれば問題ないものの、遠慮しがちな人は我慢しながら働き続けることになります。誰かにサポートしてもらいたいという場合は、アルバイトよりも派遣がおすすめです。

4. 派遣とアルバイト|キャリアアップのしやすさは?

派遣とアルバイト、どちらを選んでもキャリアアップをめざすことは可能です。ただし、キャリアアップの手段には違いがあります。ここでは、派遣とアルバイトのキャリアアップの方法を解説します。

4-1. 派遣のキャリアアップ

派遣社員のキャリアアップでは、「派遣社員のままキャリアアップする方法」と「正社員をめざす方法」の2つが考えられます。

派遣社員のままキャリアアップ
専門性を高めて、時給アップをめざします。派遣会社によっては、無期雇用派遣にランクを設定しており、ランクに応じて時給が上がるケースもあります。派遣の管理者やマネージャーなどのポジションをめざしてもよいでしょう。

派遣社員から正社員をめざしてキャリアアップ
派遣社員として経験を積み、正社員への就職をめざします。希望する職種の派遣で実務経験を積めば、転職で有利です。スキルや知識を証明するために、資格取得をめざすのもおすすめです。

派遣社員から正社員をめざす場合は、直接雇用を前提とした「紹介予定派遣」を利用する方法もあります。紹介予定派遣とは、企業との直接雇用(正社員や契約社員)を前提とした派遣の働き方です。最長6ヶ月の派遣期間修了後に、企業と派遣社員の合意のうえで、直接雇用へと移行できます。

派遣社員としてキャリアアップをめざす場合は、働きながら派遣会社の研修を利用し、自分に必要なスキルを身につけましょう。派遣担当者に相談すれば、キャリアプランを考慮したうえで、今の自分にふさわしい仕事を紹介してもらえます。このように、派遣社員は計画的にキャリアアップをめざしたい人におすすめです。

4-2. アルバイトのキャリアアップ

アルバイトがキャリアアップをするには、正社員登用をめざす必要があります。一般的には、1年〜数年ほど勤めた時点で、正社員採用の声がかかるケースが多いでしょう。

アルバイトからキャリアアップをめざす際には、下記のポイントに注意しましょう。

・正社員登用制度のある企業を選ぶ
・アルバイトの応募時点で正社員をめざすことを伝える

企業によっては、アルバイトからの正社員登用を行っていないケースもあるので、必ず正社員登用制度が整っている企業を選ぶことが大切です。できれば、アルバイトからの正社員登用の実績が豊富にある企業が望ましいですね。

アルバイトから正社員になるためには、自分自身が企業の正社員としてふさわしい人材となる必要があります。たとえば、「積極的に仕事に参加する」「業務効率化に貢献している」「コミュニケーション能力が高い」「社員からの信頼が厚い」といった特徴があると、正社員登用も叶いやすいでしょう。

ただし、派遣会社のようにスキルアップ制度は充実していないので、自分で資格取得やスキル習得に励む必要があります。派遣社員に比べると、アルバイトのキャリアップの難易度は高い点に注意しましょう。

5. 派遣のお仕事探しは「そうキャリ」におまかせ

派遣社員の雇用元は、派遣会社です。派遣は就業条件が契約でしっかり決まっており、派遣会社の制度を活用できるという特徴があります。派遣期間には制限がありますが、無期雇用派遣であれば同じ職場で長期間勤めることも可能です。

アルバイトは、企業と直接雇用関係を結びます。就業期間や業務範囲に制限がないものの、派遣に比べると時給が低く、スキルアップに適した環境が整っているわけではない点に注意しましょう。

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